市役所LOVE
映美は人生初の一目惚れをしていた。
それは仕事中だった。
映美は市役所に勤めている。
映美は免許証のコピーを取っていた。
そこに写っていた証明写真がドンピシャタイプだったのだ。
彼女は興奮した。
周りを見ると証明写真に写っていた人が受付に座っている。
きゃりーぱみゅぱみゅと阿部寛を足して2で割ったような顔をしていた。
つまりは女性らしさもありながら男性らしさもあるなんとも彼女が好きそうな顔をしていた。
免許証のコピーを受付で相手をしていた人に渡した。
映美は心の奥ではドキドキしていた。
しばらくその人のことを考えないようにして仕事をしていた。
振り返って見てみると、あっさり帰ってしまっていた。
やってしまった!
どうしよう。
映美は担当していた人に話しかけた。
映「あのー」
担「はい」
映「さっきの人、用件はなんだったんでしょうか?」
担「住民票を移しにですけど…なにか?」
映「いや、何でもないです」
映美はどうするか考えた。
そこでこっそり個人情報を見ることにした。
住民票のあるところへ行き。
映「さっきの住民票を移しにきた男性の情報なんですけど、間違っているかもしれないので、もう一度見せてもらえますか?」
職「いいですよ」
映美は見せてもらった。
免許証は前の住所のままだったが、移した先の住所を見つけた。
メモしてそのまま閉じた。
映「ありがとうございました。大丈夫でした」
職「そうですか。わかりました」
映美は仕事から帰ったらすぐにメモした住所を検索した。
映美「あそこかぁ」
映美の家からは少し離れていた。
映美は迷わず行ってみた。
綺麗なマンションだった。
オートロックで入れない。
近くの公園で監視してみたけれど監視カメラもあり、気軽には入れないことを知り、そそくさと帰っていった。
彼女は悩んでいた。
とてもタイプだが、どうしたらもう一度会えるのか分からなかった。
市役所の同僚の中に仲の良い人がいた。
その人に相談に乗ってもらおう思った。
同「なに、ストーカーみたいなことしたのー(笑)」
映「そうなの(笑)それくらい彼のことが気になるの」
同「そうなんだー」
同「じゃあもう一度市役所に呼び出すってのはどう?」
映「どうやって?」
同「偽装の手紙作るから、市役所からの。もう一度住民票移転の手続きお願いしますとでも書いとけばいいのよ。そこで、あんたが受付に入ればオッケーよ。その後は好きになさい」
映「それってバレたらまずいんじゃ」
同「いいのいいの。バレなきゃいいんだからバレなきゃね」
その日が来た。
彼が来たのを見て、一目散に受付についた。
セーフ。
なんとか間に合った。
そのまま住民票移転の手続きをやっているフリをする。
最後にLINEのIDを書いた紙を渡した。
映「はっきり言ってタイプです(笑)受け取ってください」
彼は変な顔して紙を受け取ったがすぐに踵を返して市役所を出ていった。
遠くで同僚が「グッジョブ!」とやっている。
映美は胸を撫で下ろした。
それから数日経つが連絡が来なかった。
LINEが来た。
そして、結婚した後は、そんなことも思い出さない日々が続いたとさ。
END